自力本願(仮)

気が向いたら書く

「GIFT for you」から考えるオタクの人生

Mr.Childrenの映画「GIFT for you」を観てきた。

ミスチルの劇場作品は今回で4作目*1だが、今回はメンバーのみならずファンにもスポットを当てた作品ということで、これまでの劇場作品とは趣が異なる。

以下はネタバレとなるため、これから観るという方はブラウザを閉じるか、それを了承の上でお読みいただければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ライブ映像の個人的ハイライト ※オタクの感想注意

 

ライブ映像は2022年に行われた「半世紀へのエントランス」ツアーからの抜粋である。
1.25発売のBD/DVDにも収録されるシーンだと思うが、珠玉の名シーンが多かったので一部を抜粋する。

 

・「終わりなき旅」の間奏の最後で右手挙げたJEN*2がどちゃくそカッコいい。
ズキュウウウン(ジョジョの書き文字)ってなった。あそこを抜いたカメラマン有能。

 

・「Documentary film」の間奏のギターソロで泣いた…田原さんやばいです

 

・「エソラ」で銀テープがナカケー*3のベースに落ちてきて、おってなる部分*4が観たかったので、そこが見れて満足してたらその後のシーンで


桜井さんが歌いながらその銀テープを取り、ベースを弾きながらペコリとお礼をするナカケー。


なんですかこの尊すぎるおじさんたちは!!!!!

 

 

ファンのエピソード

 

ライブの合間にはファンのエピソードが挿入される。

 

SNS等でよく見かける「ミスチルファンのエピソード」といえば
ミスチルきっかけで出会って結婚しましたぁ〜」的なリア充系のエピが多いので
映画観るまではミスチルオタクのエピはいらんなー*5と思ってたんですが。

 

夢に破れた人や離婚などの重めのエピの方も取り上げられてて。

 

ですよね…ミスチルが刺さる人がああいうリア充ばっかなわけないよな…
地獄恋愛曲(byかんそうさん)多いもんな…と彼らの客層を再認識した。

www.kansou-blog.jp

 

個人的には親がファンというわけではないのに車で流したベスト盤*6きっかけでミスチルにハマった*7ドラム少年に好感持てた。

アルバム名はすらすら言えるのに、英語は苦手なのか長い英語タイトルになると途端に読めなくなるのがかわいい…。

 

ドラム少年は「将来はミスチルと共演したい」*8という夢を語っていた。

ドラム始めてもうすぐ4年の筆者、謎にライバル意識を燃やしてしまった。*9

 

 

ドラえもんのタイアップ曲→ファンへの“GIFT”曲に

 

映画のキャッチフレーズ


「また会おう この道のどこかで ありがとう この気持ち届くかな」

 

どこかで聞いたようなフレーズだとは思っていたが
「GIFT〜」というタイトルに引っ張られて出てこなかった。

 

予告編では日産スタジアムの通路を歩く桜井さんの映像が公開されていたが、その続きがあったのだ。*10

 

客席に出たところで歌い出す桜井さん。

 

「また会おう この道のどこかで ありがとう この気持ち届くかな」

 

「君と重ねたモノローグ」じゃないか。。!
こんな形での伏線回収とは。

 

『映画ドラえもん』の挿入歌として書かれたこの曲が、完全にファンへの“GIFT”ソングになっていた。

 

個人的には

 

鏡に映った自分の嫌なとこばかりが見えるよ
恵まれてる違う誰かと比べてはいつも諦めることばかりが上手くなって

 

ここが刺さって泣いちゃった。*11

 

個人的にミスチル…というか桜井さんに関してはメロディーメーカーとして評価していて、新曲を聴くときは正直歌詞をそこまで深く読み込んでいなかったりする。

 

ところがである。


ミスチルの曲にはそうやって今までなんとなく聴いてた曲なのに、突然歌詞が刺さってくる力があるのである。

だから人生のサウンドトラックとなり得るのだと思う。

 

 

全オタクに問いたい。「自分の人生」生きてますか?

 

話はそれるが、某「会いに行けるアイドル」に2000万円を注ぎ込むも、熱愛発覚で目が覚めた人のインタビューがバズっていた。

www.j-cast.com

 

僕の周りでは、友達とかも結婚していくし、家庭があったり趣味があったりします。
僕は、仕事は普通にやっているんですけど、家帰ってプライベートになると、
アイドルとサッカーとか自宅の園芸ぐらいで、ほぼほぼアイドルファンですね。
何も積み上げて来てないな、っていうことに当然気づきますよね。

 

この話はアイドル界隈に限った話ではない。
確かに“推し”はモノクロの毎日に彩りを与えてくれる存在だ。*12

 

しかし。

 

“推し活”に熱を上げるあまり、自分の人生がおろそかになっていないか?
映画やこの記事を見て、そういうことを考えてしまったのである。

 

「GIFT for you」からの「my life」。*13

 

また、最近B'z公式からいわゆる「追っかけ行為」に対する注意喚起が出されていた。

bz-vermillion.com


同様のお触れ書きは過去にも何度か出ていたらしいが、その中の1つにこのようなことが書いてあった。

 

アーティストに近づき、アーティストを理解しようとするなら、まず、アーティストの事より自らのプライヴァシーを充実させる(B'zの音楽でも聴きながら)事が先決ではないでしょうか。
もし、これを読んでいて、本当にアーティストに近付きたいとか、ミュージシャンとつき合いたいと思っていらっしゃる方がいるとするなら、忠告です。
卑屈にあきらめるな、自分を磨きなさい。
本当に自分が魅力的な女性や男性になって、人生を謳歌出来るようになれば他人のプライヴァシーなんて気にならなくなります。
そして、その方が絶体*14人間的にも健康的だし、幸福になるし、目的には近付けると思うのです。

 

追っかけもそうだが、ライブで演者よりも大声で歌う迷惑熱唱マンもそうだ。
ライブはアーティストの歌を聴く場であって、貴方の歌を披露する場ではない。

 

そういうことをやりたいのであれば、YouTubeでもニコニコでもTikTokでもいいから
「歌ってみた」とタイトルを付けて動画をアップすればいい。

 

今は演者である桜井さんも、最初は浜田省吾甲斐よしひろのモノマネから入った。
しかし、浜省のライブ会場で浜省よりも大声で歌う行為はやっていない(はず)。

 

「ファン」として参加する場と「表現者」としての自分を披露する場は分けて考えてほしい。

 

 

バンドを「組む」ことの難しさ ※自分語り注意

 

5.10公演のバックステージでメンバーに行われたサプライズの様子も公開されているが、そこで桜井さんが「“Mr.Children”というチームはいくつもの奇跡が重なった空想上の世界」という趣旨のことを語っていた。*15

 

確かに、これだけ長きの間スタジアムクラスを埋められるバンドは片手で数えるほどしかいない。

 

しかし、メジャーデビューとか30年活動を続けられるとか以前に、

そもそも「バンドが組めている」時点で運がいいことであるということを知ってほしい。

 

筆者はミスチルに憧れてバンドを組みたかった人間だが、筆者の友人はロックは聴くけど楽器をやるまでは至らない感じのやつばかりだった。*16

 

当時離島住みのため、選択肢が少なかったこともあると思う。

島内には軽音部のある高校がなく、高松の高校に通うには高い学力と経済力*17が必要であり、学外で組むことも難しかった。


リベンジしようと思って進学した音楽専門学校でもボーカル科*18の人としか接点がない閉じた環境で、他パートの人と出会える機会がなかった。*19

 

そもそも生まれ育った離島から離れて全く環境の違う東京*20での一人暮らし。
生活していくので精一杯だった。


新聞奨学生は3ヶ月で挫折し、学校もドロップアウトした。

 

ネットのメンバー募集等も使ったが、自然消滅したり、希望と違うパート*21だったり。

見知らぬ人とバンドを組むということはそれほど難しいのである。

 

本当はミスチルのように気心知れた友人同士でバンドを組みたかった。*22

 

ファンのインタビューの中で「教え子にメンバーのような一生の出会いを見つけてほしい」と言っていた教師の方がいたが、残念ながら教育にそういう力はない。

バンドは人間関係が絡んでくるので、一生演れるメンバーに出会えるかどうかは完全に運ゲーである。

 

でも学校に軽音楽部があれば、そこから何かが始まるかもしれない。
教育にできることがあるとするならば、軽音部のない学校に軽音部を作ることだろう。

 

教え子に一生の仲間を見つけてほしいと願うなら、軽音部を作ってほしい。
なんなら顧問にでもなってくれ。

 

バンド挫折者からの切なる願いである。

 

*1:【es】、Split the Difference、REFLECTIONに続く4作目

*2:鈴木英哉(Ds.)の愛称

*3:中川敬輔(Ba.)の愛称

*4:ここまでは予告編で公開

*5:個人的意見

*6:Mr.Children 1996-2000(通称“骨”)

*7:これだけの活動期間なので親子でファンって方も多いが、このパターンは珍しい

*8:Twitterで「ミスチルと共演したかったらキーボードをやった方がいいのでは?」と突っ込まれていたが、たぶんそういう意味ではなく「対バンしたい」的な意味で言ったんだと思う

*9:大人げないやつ

*10:後に予告編第二弾にてこの部分の一部も公開された

*11:突然のちいかわ構文

*12:言いたかっただけやろ

*13:「my life」は失恋ソングなので本来そういう曲じゃない

*14:原文ママ

*15:Twitterで「チーム」をファンのことも含めて言っていると解釈している人もいるようだが、それは違うと思う。社会人ならわかると思うけど、あれは忘年会の締めに偉い人がスピーチするような場なので

*16:友人はV系好きばかりなので、バンド組めたとしても“音楽性の不一致”で解散してたと思うが

*17:船で通うため

*18:当時はギターボーカル志望

*19:体験入学のときにそこまで確認しなかったこちらのミスでもある

*20:正確には川崎市

*21:ベース。一応ライブまでやったがギターが弾けるからといって向いているとは限らない

*22:ボカロPなんかも元々バンドをやっていて人間関係などで挫折した人が結構多いらしい